ソー:ラブ&サンダー

この記事はネタバレを含みます。

はやいもので、マイティ・ソーシリーズももう4作目。
前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(原題: Thor: Ragnarok)からもう4年も経っているなんて!?

今回は、前作に引き続き監督がタイカ・ワイティティということで、たぶん私には合わないだろうなーと思いながら観たのですが、結果は…前作よりは面白かったです。
ワイティティ監督作を絶賛している方も多いですが、こればっかりは本当に個人の好みなので…。
ブラックコメディがあまり得意でない私にとってはNot for meという感じでした。

そもそも、これも何度も書いているのですが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』での展開のすべてがしんど過ぎて、そしてアベンジャーズのワンダが主役のドラマ、その名も『ワンダヴィジョン』から始まった、自分との対話が主軸に置かれたフェーズ4の展開もまた全体的にしんどいんですよね。

まあ、エンドゲームのあの内容から急にハッピーな日常に戻っていたら、いくら創作の世界とはいえ違和感しかないと思うので、こうなっていること自体は理解は出来るのですが、それこそ第一作『アイアンマン』からリアルタイムで追ってきた身としては喪失感がすごくて。
『ムーンナイト』のように今のところ独立している作品だったら、多少シリアスでもしんどくないんですけどね。

ぐだぐだ言っていても仕方ないので、本題の『ソー:ラブ&サンダー』の感想を。

冒頭いきなり見たこともない宇宙人みたいな親子と、これまた見たことのない自己中な神様が出てきて、一瞬全然違う映画を再生してしまったのかと思いました。笑
そのあとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々と過ごすソーの近況が映るのですが、このあたりのシーンと、中盤の、神様たちが巨大なドームみたいなところに集まっているあたりが一番好みが合いませんでした…。

前作のジェフ・ゴールドブラムといい、今作のゼウス役ラッセル・クロウといい、胡散臭い役が妙にハマっていて、このあたりのキャラの造形はワイティティ監督はすごい。
もちろんそれを完璧に形にできる役者あってのことではありますが。

今回はナタリー・ポートマンの演じるジェーンが久しぶりに復帰ということで楽しみにしていたのですが、画面に映った彼女を見て、本当に余計なお世話ながら、ナタリー・ポートマンも歳をとったんだなあと最初は思っていました。
ところが、ムジョルニアを手にして力を得てからのジェーンの風貌は全然違う!ハリウッドのメイクすごい!
なんか覇気がなくてお疲れ気味に見えていたのも、ナタリー・ポートマンの演技でした。笑

自分の残り少ない生命力を削って、クリスチャン・ベール演じる神殺しのゴアと戦う姿はこの上なくかっこよくもあり、痛々しくもあり。
それ以上に、両親や弟のロキ、姉…はまあいいとしても笑、アベンジャーズの仲間たちに続いてジェーンまで失うことになるソーを見ているとあまりに辛い。
でも、それだけたくさんの別れを経験してきたソーの姿だからこそ、最後の最後にゴアの心を動かせたんでしょうね。
まあ、ゴアにしても生まれついての極悪人というよりは娘を失った悲しみのあまりの闇堕ちだったわけで、心の奥底のどこかに人を愛する心が残っていたのでしょう。

ソーはあまりにも多くの人を失いましたが、ゴアの願いで蘇ったゴアの娘ラブを託され、なんとか前に進んでいけそうです。

この作品を見て、ワンダのことを思うと、またなんともやり切れない思いになります。
弟を失い、最愛の人も失い、自分の創造した世界の息子たちも失い…もちろんアベンジャーズの仲間たちはいますが、そもそもの加入の経緯やこれまでの流れからしても、ワンダにとって家族とまで呼べる存在ではないような気がします。
その点、ナターシャは自ら家族と呼ぶアベンジャーズのために命を投げうったわけで、彼女の死には未だにモヤモヤしている私ですが、ワンダと比べればまだよかったのかななんて…。

と、また脱線してしまいましたが。

途中、モノクロ調の画面に変わるところ、めちゃくちゃ良かった!懐かしくて、新鮮。
シン・シティを思い出すようなシーンでした。

そして何より、クリスチャン・ベールですよ。
正直なところ、ヴィランが彼でなければ、集中して通しでこの作品を観られたか分かりません。
『ムーンナイト』でのオスカー・アイザックとイーサン・ホークの演技力爆発合戦に参戦したほうがよかったのでは?というぐらい、異次元の存在感でした。

MCUのフェーズ4の映画は残すところ『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』1つとなりました。
フェーズ4では作品を越えての各ヒーロー同士の交流は少なめでしたが、フェーズ5ではもう少し繋がりや、明るめのストーリーもまた見られるのでしょうか?

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